東小河内


 
 筑前国那珂郡五ヶ山村の枝村東小河内村(那珂川市五ヶ山)と肥前国神埼郡松隈村の枝村小川内村(神埼郡吉野ヶ里町松隈/佐
賀領)の境になります。

 ここは、現在建設中の五ケ山ダムのダム域になるそうで、周りの木等もすでに切られています。2005年5月頃那珂川町の教育委員
会にお尋ねしたところ、「引き上げて保存する方向で調整中」とのことでした。

2020/03/01

 2019年久しぶりに当地を訪れてみました。上には「引き上げる方向で調整中」と書いていましたが、かなり早い段階で、ダムの流入
口になり常時水没はしないので「動かさない」という情報は得ていましたが、最終的にどのような環境になったのかは知りませんでした。

 結論を言うと原位置にありますが、五ヶ山ダムのダム域になり、フェンスを張られ立入禁止になっています。

 

 ダムサイトが公園化されており、「那珂川市発足記念植樹」的なものが植えられ、立派な国境石垣の案内板も建っていましたが、(福
岡・佐賀)県道136号線上には公園や国境石垣の案内標識は一切なく、一見すると公園は「五ヶ山豆腐」の庭に見えます。

 このダムは「福岡県営五ヶ山ダム」です。福岡県のダム(具体的には私を含めた福岡市民の利水)ですが、ダムの建設のために、ダ
ムの利益を一切享受しない佐賀県側(神埼郡吉野ヶ里町松隈)の、小川内集落がなくなっています。集落がなくなる数年前に集落内を
歩き、その当時まだ残っていらっしゃった住民の方にお話しを聞きましたが、福岡県のために生まれた土地を離れざるをえなかった人
の気持ちを忘れてはいけません。

 山祇神社のご神木である小川内の杉も、初めは「接ぎ木して残す」ような話も出ていましたが、さすがに福岡のためになんの関係もな
い佐賀のご神木を切るわけにはいかなかったのでしょう。ダムを見下ろす丘の上に遷座された山祇神社の横に移植されています。


 《筑前国續風土記 那珂郡五箇山》
此山川にニ三月は榎の葉といふ魚ありてとる。鱒に似て小なり。

 筑前国續風土記の那珂郡五箇山の章に、私の趣味である渓流釣りの対象魚やまめ(エノハ)についての記述を見つけました。あまり
にもうれしかったのでここに一緒に載せました。筑前国続風土記から300年後に生きる私も何度か五ケ山でやまめ釣りをしたことがあ
りますが、残念ながらもうすぐダムの湖底に沈んでしまいます。

 

bP
文 字

 此石垣         このいしがき
  相障申間○○    あいさわりもうす○○
   筑前國         ちくぜんこく
    五箇山村        ごかやまむら     (○○部分判読不明)

  
場 所

bPは4基のうち一番東(下流)側にあります。この石も私は見つけられなかったのですが、今回那珂川町郷土史研
究会の方々にご案内いただきました。私が探していた場所よりかなり下流の地点でした。

備 考

ダムに沈んでしまう前に見られるだろうかと少し焦っていたのですが、やっと見ることが出来ました。この石だけは
水嵩が増した時には水流の中となりますので、文字がだいぶ磨耗してきています。

この4基は「国境石」ではなく、文字が書かれた「国境石垣」という扱いになっています。

サイズ゙
自然根付け石

bQ
文 字

 此石垣         このいしがき
  相障申間    あいさわりもうすまじきこと 
   筑前國          ちくぜんこく
    五箇山村        ごかやまむら

 
場 所
備 考
サイズ゙
自然根付け石

bR
文 字

 此石垣         このいしがき
  相障申間    あいさわりもうすまじきこと 
   筑前國          ちくぜんこく
    五箇山村        ごかやまむら

 
場 所
備 考
サイズ゙
自然根付け石

bS
文 字

 此石垣         このいしがき
  相障申間    あいさわりもうすまじきこと 
   筑前國          ちくぜんこく
    五箇山村        ごかやまむら
 
場 所
備 考
サイズ゙
自然根付け石

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