丹波国と近江国との間は、わずかですが国境があります。丹波・若狭・近江の三国境(三国岳)から見ていきます。
三国岳の南には南丹市美山町芦生と高島市朽木生杉を結ぶ地蔵峠がありますが、両国絵図には記載がありません。角川日本地名大辞典 芦生村(近世)には「地蔵峠には寛政10(1798)年刻銘の石塔がある」とされており、天保の国絵図完成(天保9<1838>年)時にはこの峠道は利用されていたようです。
桑田郡芦生村(園部領/南丹市美山町芦生)と国境線の間に「知井山」が描かれています。その横には「瘁i杉)凡(おおよそ)木出る山」と書き添えられています。同絵図には「知井山(を)近江国では中山と申し候」とされており、近江国絵図では高島郡桑原村(旗本朽木氏知行地/高島市朽木桑原)の西に中山が描かれ「丹波国においては知井山と申し候」とされています。
丹後の地名プラスの旧知井村には、北桑田郡誌を出典とし「三國嶽(959m/山城境の三国岳)の北に知井山(922m)」とされていますが、現代地図から付近に該当のピークを見つけることができません。
すぐに丹波・近江・山城の三国境(三国岳)になりますが、丹波・若狭・近江境の三国岳から、丹波・近江・山城境の三国岳まで、丹波・近江国境の丹波側はずっと桑田郡芦生村(美山町芦生)域です。一つの村が2つの三国岳を抱えるというのは、探せばありそうな気もしますが、すぐには思いつきません。
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