朝倉郡東峰村小石原・田川郡添田町

　小石原村（２００５／３／２８より朝倉郡東峰村）・田川郡添田町の境も村同士の国境論争あったようですが、穏便に話し合いこまかく
両国の国境石を背中合わせに建てたそうです（話合いは元禄１３年・建立は元禄１５<１７０２>年。※建立は元禄１４年としていました
が、黒田新續家譜の記述から元禄１５年に改めます）。

　また、それとは別に街道筋には大きな象徴的な国境石が建っていたそうですが、盗難に遭ったそうで今は筑前側は基礎しか見ること
ができません。豊前側は竿石の下部が残っていますが、意識的に折られたように見えますので、旧来の秩序を否定したい明治政府の
指示によって破却されたのでしょう。

　この国境石の周りには行者杉といわれる巨大な杉の群生群があり、杉の根を守るためロープを張って立入規制をしている部分があ
ります。大杉も国境石もどちらも大切に。

　№は小石原村村誌に準拠しています。また、石の材質は筑前側花崗岩・豊前側凝灰岩です。（№５・６の基礎もそれぞれ同材質）　サ
イズは高さだけを載せています。　

２０２４／０３／０１

　前回ここを取材し、このページを公開したのがいつかは記録に残していませんが、小石原村という表記をしていますので、２００５年の
東峰村合併以前のことのようです。今回急に思い立ち、２０２４年２月に再訪しましたが、№２０の先で道を間違えてしまい、この時は２
１※までしか見つけることができませんでした。ロケーションに若干の変化があり、また画像を新たに撮影してきましたので、このページ
は再編集いたします。（３月１日時点では２１※までしか見つけていません。※２０２４／０４／０１追記　最終的にこの石は２１ではなく、
私が未知の国境石２０－２でした。）

　ここに建てられている両国の境石は加工石ですが、きれいな角柱にしてあるわけではなく、最低限の加工しかしてありません。特に豊
前石は文字面を平らにしてある程度です。よって横幅・奥行は測る場所によって大きく違ってきます。不正確な数値になるため高さの
みを記載していましたが、今回一応採寸してきましたので、参考として記載します。横に関しては方角文字あたり、奥行（厚）は最大値と
なる位置で測っています（頭だけ出している石は、頭の横幅×奥行で測定）。

　文字に関しては、林の中にあるため一部は以前よりも苔むしており、また以前よりも埋まっている石もあり、前は見えたはずの文字
が読み取れなくなっているものもありました。そのため、以前取材したときに読んだ（はずの）文字をそのまま記載しています。

　文字の特徴として、筑前側はすべてが「從」、豊前側はすべて「従」です。「從・従」の書き分けについてはこちらに。

　黒田家側は「筑前国」ではなく「筑前領」と彫られていますが、同じく小倉領境になる烏尾峠の、元禄１３（１７００）年に建てたとされる
象徴境石も「筑前領」銘で建てられており、天保年間（１８３５年頃）に「筑前國」銘の石に建て替えられています。一方、小笠原家側も
「豊前國小倉領」ではなく「豊前小倉領」となっています。現存する小倉領小笠原家が建てた国境石の内、「国・國」がない「豊前小倉
領」と彫られたのはこの地域の国境石群だけです。

　掘り出されたり転落してしまった石以外の実務国境石は、それぞれ文字が自国を向いて建っています。同じ筑前の那珂川市の国境
石群が一部（対州領境）でもそうなっいるのですが、これは紛争が起こっておらず、予防的に筑前国境石のみが建てられたと思われる
区間だけで、実際に紛争があった区間ではそれぞれ文字を相手国に向けて建っています。

　なぜ文字面を自国に向けたのかについて、思い当たる節がありませんので、とりあえずその事実のみを記しておきます。